努力はうそをつかない
実に久し振りに見た。軒先につるされた「てるてる坊主」である。数日後に開催予定の小学校の運動会を楽しみにしている息子さんが、こしらえたそうだ。
期待に反して、運動会当日の天気予報は雨の心配をつたえていた。気をもむ少年に両親が言った。「祈ってみようか」。少年は願いがかなうことを信じて、両親と祈っては、徒競走の練習に励んだという。
人は思い通りにならない物事に不安や悩みを抱く。それに打ち勝つ第一は、心が負けないことだ。そのために人は祈る。「『祈り』とは、観念ではありません。燃え上がる生命の炎です。この一念の炎があれば、祈った瞬間、生命はすでに勝っている」と。
ある婦人が病を患った。大きなショックはあったが、"私にとって生きるとは病魔に負けないこと。だから祈る!"ーーーそう心を定めると動揺が消えた。その後、婦人は全快し、第一線に復帰した。
先の少年は晴天の運動会で、勝利のゴールテープを切ったという。少年が祈ってつかんだものは、好天だけではなく、どんなことが起きても「努力はうそをつかない」との確信だったに違いない。