行動することに意味がある

兵庫県福崎町には、民族学者・柳田國男の生家が移設・保存されている。氏が自ら「日本一小さい家」と述べるほど、幼少期の生活は貧しかった。9歳の時、現在の加西市に移り住み、飢饉が起こる。約1ヶ月の間、おかゆだけの生活を送った。

この飢饉は、「私を民族学の研究に導いた一つの動機」と氏は振り返っている。大学で農政学を学んだのも農民たち対する思いからだ。兵庫での経験は氏の人生と思想に深い影響を与えた。

氏は30代前半の時、自宅で「郷土研究会」を開催した。同会はその後、新渡戸稲造を中心とした「郷土会」に発展。そこで、先生と親交を深めた。

郷土会創立の7年前、先生は『人生地理学』を出版。その中で、郷土こそ「自己の立脚地点」と強調。地域に根差す「郷土民」としての自覚が「生命を世界にかけ、世界を我が家となし、万国を吾人の活動区域となしつつあることを知る」という"世界市民"の礎になると考えた。

法華経寿量品に「我此土安穏(我が此の国土は安穏にして)」と説かれている。自分が今いる地域の安穏と繁栄を祈り、行動することこそ私たちの使命だ。先生の精神を胸に、わが誉れの地域を、今日も朗らかに駆けよう。