不退の心意気

いよいよ来週から新年度が始まる。例えば3月31日から4月1日への時間の流れ自体に、特別な変化な変化があるわけではい。それでも「年度」が改まれば、生活の実に多くのことが切り替わる。

"たった一日"の違いで新しい何かが始まる機会は、こうした社会の制度ばかりではない。かって、ノーベル医学生理学賞を受けた山中伸弥教授が授賞式の翌日、インタビューでこう語った。「今日が始まり。研究者を目指した最初の日に戻って仕切り直したい」

人は、わが一念を変革させる事で、新たに使命の道を多きく切り開いていける。しかし未来や未知の分野を開拓する先駆者には、その前進を阻むような壁が必ず立ちはだかる。

先のインタビューで山中教授も語っている。「研究を進めると、自然は思ってもいなかった新しい問題を問いかけてくる。答えるとまた問題が現れるので、それに答えたい」。探求の志が いや増す求道者にふさわしい言葉である。

人生は、戦いを避けた瞬間から後退が始まる。障魔を前に、喜ぶ賢者となるか、退く愚者になるかーこの一念の違いで一切の勝負は決まる。「いよいよ・はりあげてせむべし」という、清新にして不退の心意気があれば、局面は必ず変えられる。