励まし

いつもの道が明るい。

カラフルな花々が咲き誇り、木々の枝からは、もえぎ色の葉が顔を出している。見上げると、薄桃色の桜の花びらを通して春の柔らかな光が透けて見えた。

「もう春かぁ 春なんだなぁ 春が来たんだなぁ」
東日本大震災の翌々日から被災地に通い、一人一人の「心の叫び」を集めた本『命の詩』の中の言葉。
満開の桜の写真が添えられていた。

こんな言葉もあった。「ぜいたく言わねぇでさ こうしてなんとか暮らしていることが幸せでねぇべか この津波でさ 本当の幸せって何かを いろいろ考えさせられたネ!」「なんにもいらねがんす もとの家族にもどりたいが」。

何でもない日常の中に幸せはある。その日常を守るためには、さまざまな努力と支えが欠かせない。

先日、宮城県石巻市の壮年が言っていた。「今、必要なのは一人一人の状況に応じた励まし」であり、「本質的な課題は自分や家族、地域の未来が描けない孤立感、諦めではないか」と。壮年は津波で家族を亡くしながらも、被害者に寄り添いつづける。

心に希望を育み、心を未来の方向へ向かわせるのが励ましであり、日常を支える大切な努力だろう。
震災9年目の春、励ましの光を自分から大きく広げたいと思った。