庶民の側に立つ

元号「令和」が発表されて以来、「万葉集」がブームだ。書店だけではなくネット通販でも関連本の売り切れが続出し、出版社も増刷を決めるなど注目が集まっている。

万葉集には4500余首の歌が収められている。その約半数が「詠み人知らず」、すなわち「無名の庶民」の作品である。20巻にまとめられているが、決まった編集方針はなかったといわれる。さまざまな歌が並ぶことで、当時の人々の肉声が響いてくるような魅力がある。

万葉集研究の第一人者である中西進氏は「万葉集には大きく嘆き悲しむ歌が多いのですが、こういう事は相当に強い精神の力がなくては詠めません」「命の燃えている。生きる事を本当に実感していたのだと思います」万葉の時代から庶民はたくましく賢明だった。

いかに時代が変わろうとも、一人の庶民として、庶民と共に歩み、庶民の側に立つ。だからこそ、その歴史は不朽の輝きを放つ。

元号の典拠にある「令月」、-何事をするにもよい月」との意味。

今こそ、平和の基盤をつくる時と決め、平和の底力を満天下に示していこう。