不屈の力

宮崎県延岡市を流れる友内川の堤防で、マガモヒドリガモなどの渡り鳥が餌を探す姿を目にするようになった。まもなくシベリアなど繁殖地への「北帰行」始まる。

渡り鳥といえば「ヒマラヤ越え」で知られるアネハ鶴全長一メートル弱と鶴の中でも小がらで、平地ではそれほど高く飛べない。だがヒマラヤを越える時は、数百羽がV字つらなり、上昇気流を利用して高度8000メートルに達する。

なぜ高い山を越えられるのか。登山家の竹内洋岳氏本誌の取材で一つの説を語った。いわく"ヒマヤラで造山運動が起こる前から、ツルはこのルートを移動していた。長い年月をかけて少しずつ山が
高くなる中でツルも飛行高度を徐々に上げてきた"と。

気の遠くなるようなスケールの話だが興味深い。もしヒマラヤが隆起しなければ、ツルも高く飛べるよはならなかったろう。環境の"挑戦"に対し、ツルが"応戦"し続けた結果、想像を絶する力が育まれたともいえる。

人間もまた"一足飛び"に成長することはできない。「今ここで、自分ができることから、勇気の行動を起こすことである」と。女の都、壁を、一つまた一つ乗り越える。その連続の中で不屈の力と心が磨かれる。