具体的な声掛けが大きな支えになる
飛行機の中で、近くにいた赤ちゃんがぐずりだした。母親は必死にあやしたが、泣き声は大きくなるばかり。すると一人の婦人が声を掛けた。「大丈夫、赤ちゃんは泣くのが仕事。みんなそうやって大きくなったのよ」。泣き声はやまないものの、張り詰めていた場の空気が一気に和らいだ。
"孤立無援" の状況だった母親にとって、婦人の一言がどれほど心強かった想像に難くない。婦人の知恵と温かな気遣いに頭が下がる思いだった。
子は"誉めて育てよ"とよくいわれる。だが小児神経科医の友田明美氏は、子どもだけでなく、親たちをも周囲が"誉めて育てるべき"と強調していた。「欠点がある親もいるかもしれません。ただ、否定するのではなく、そういった親の頑張りを心からねぎらうのです」。この親の"誉めて育て"が、ひいては子どもたちを幸せにしていく、と。
共働きやひとり親世帯など、多様化する家庭環境にあって悩みも千差万別。ただ、いつの時代も親だって最初は"初心者"であり、周囲の助けを必要としているだろう。「大変だね」「頑張っているね」ーーーこうした具体的な声掛けが、大きな支えになる。
子どもが宝なら、育む親もまた宝の存在。"宝の親子"を支える励ましの輪を、我が地域に広げたい。