重要なのは何を選ぶのか
食事をする店をインターネットで探す。しかし、情報が多すぎて決められない。悩んだ末に"いつもの店"にしてしまったーーこんな経験はないだろうか。
選択肢が多すぎると判断を下しづらくなる。これは「ジャムの法則」と呼ばれる。米国の学者の次のような実験結果に基づくものだ。
スーパーでジャムを並べた試食用テーブルを二つ用意した。片方は24種類、もう片方は6種類。前者に多くの客が集まったが、最終的にジャムを買った人の割合は、前者が試食者の3%だったのに対して、後者は30%多すぎる選択肢にたちすくむ。これは今の社会を象徴する現象のように思える。SNSなどあらゆる所から情報が入り、人々の生き方も多様化した。日々の生活や人生における私たちの選択の自由度は増している。しかし、それが真に豊かな人生、幸福な人生に直結しているかといえば、そうともいいきれない。
膨大な選択肢があふれる社会にあって重要なのは「何を選ぶのか」という価値判断の基準であり、哲学である。果てしない大海原の中で賢明に進路を決定し、荒波をも越えていくための「羅針盤」が必要だ。